所長ブログ
2012年12月20日 木曜日
[書評]伊藤眞 「会社更生法」 (有斐閣)
今回から、4冊連続で、書評を書きたいと思っています。1冊目なので、弁護士らしく、法律書の書評を書くことにしたいと思います。書評の1冊目は、伊藤眞氏の『会社更生法』(有斐閣)です(なお、本記事は、書評ですので、これ以後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます)。この本の初版の第1刷が発行されたのは、本年11月30日だから、まだ、出版されて1ヶ月もたっていない本である。
会社更生法は、平成15年に新しい会社更生法が成立し、その後、新破産法の成立に伴う平成16年改正、会社法の成立に伴う平成17年改正がなされている。しかし、会社更生法そのものの体系書は、昭和56年に出版された松田二郎氏が有斐閣法律学全集の1冊として刊行した『会社更生法』の新版再版以降、存在せず、平成15年に新会社更生法が成立した後は、使える本がない状態と言っても良かった。そこへ、出版されたのがこの本である。著者は、既に、『民事訴訟法』、『破産法・民事再生法』(共に有斐閣)の体系書を出版しており、両方とも、実務家にとって信頼できる体系書である。学習者にも使いやすい基本書でもある。その著者が書いた本であるから、会社更生法の信頼できる体系書であることは間違いないと思われ、会社更生法の書籍の出版が少ないことも考えれば、事実上の「国定教科書」になる可能性は十分にあると思う。
その意味で、早めに読んでおきたい本と考えた。もっとも、750頁を超える大著であり、読むのに時間はかかる。しかしながら、民事訴訟法や破産法がしっかり身についていれば、読み進めることは十分に可能な本であり、また、第一章の第一節は、「会社更生事件の一事例」と題され、事例も挙げられており、イメージがつかめるようにと会社更生法の初学者にも配慮されている。
採用している学説もおおむね穏当な見解の学者の著作ということで、会社更生法の世界に、信頼できる体系書であることは間違いなく、これからも事件処理の際に参考にできる素晴らしい本に出会えたものと考えている。会社更生法の世界に、信頼できる体系書ができたことを本当に喜びたい。
信頼できる体系書があることは、困ったときに戻るべきところがあることに他ならない。基本書は使い込むほど、自分にとって使い勝手の良い本に育っていくものである。これからも使い込んで、当職にとって使い勝手の良い本に育てていきたい。
2冊目からは法律書ではない普通の本の書評を書こうと思いますので、次回の記事もご覧いただければ幸いです。
林浩靖法律事務所
弁護士 林 浩靖
会社更生法は、平成15年に新しい会社更生法が成立し、その後、新破産法の成立に伴う平成16年改正、会社法の成立に伴う平成17年改正がなされている。しかし、会社更生法そのものの体系書は、昭和56年に出版された松田二郎氏が有斐閣法律学全集の1冊として刊行した『会社更生法』の新版再版以降、存在せず、平成15年に新会社更生法が成立した後は、使える本がない状態と言っても良かった。そこへ、出版されたのがこの本である。著者は、既に、『民事訴訟法』、『破産法・民事再生法』(共に有斐閣)の体系書を出版しており、両方とも、実務家にとって信頼できる体系書である。学習者にも使いやすい基本書でもある。その著者が書いた本であるから、会社更生法の信頼できる体系書であることは間違いないと思われ、会社更生法の書籍の出版が少ないことも考えれば、事実上の「国定教科書」になる可能性は十分にあると思う。
その意味で、早めに読んでおきたい本と考えた。もっとも、750頁を超える大著であり、読むのに時間はかかる。しかしながら、民事訴訟法や破産法がしっかり身についていれば、読み進めることは十分に可能な本であり、また、第一章の第一節は、「会社更生事件の一事例」と題され、事例も挙げられており、イメージがつかめるようにと会社更生法の初学者にも配慮されている。
採用している学説もおおむね穏当な見解の学者の著作ということで、会社更生法の世界に、信頼できる体系書であることは間違いなく、これからも事件処理の際に参考にできる素晴らしい本に出会えたものと考えている。会社更生法の世界に、信頼できる体系書ができたことを本当に喜びたい。
信頼できる体系書があることは、困ったときに戻るべきところがあることに他ならない。基本書は使い込むほど、自分にとって使い勝手の良い本に育っていくものである。これからも使い込んで、当職にとって使い勝手の良い本に育てていきたい。
2冊目からは法律書ではない普通の本の書評を書こうと思いますので、次回の記事もご覧いただければ幸いです。
林浩靖法律事務所
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所