所長ブログ

2013年7月 5日 金曜日

[書評]荒川洋二他 4訂版犯罪事実記載の実務特別法犯

一冊、書評をしたいと思います。(本記事は書評なので、ここからは、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。

この本は、はしがきの2頁目に「捜査官の執務に資する」とあるように、本来の目的は、警察官が送検する際の送致書に記載する犯罪事実の書き方の例を示し、警察官の執務に便宜を図ろうとするものである。この「犯罪事実の記載の実務」は、特別法犯編のほかに、刑法犯編も出版されており、当職が司法修習生のころは、検察という科目の2回試験の準備のために刑法犯編を使う修習生も多く(特別法犯は、実務修習の際を除いて、修習生は扱わないのが一般でした。)、当職も、刑法犯編を購入して、使用した。現在でも、告訴状を書くようなときには活用している。しかしながら、刑法については、犯罪事実ごとの整理だと、刑法各論の部分は良いのだが、刑法総論の部分が薄くなることもあり、結局、ノート代わりにする本としては、受験時代に使用していたテキストを書籍化した「伊藤真の条文シリーズ6 刑法」(伊藤真監修、伊藤塾著・弘文堂)を、業務際に必要な事項を調べる時には、条解刑法(前田雅英編集代表・弘文堂)を用いている。

ただ、刑法についての書籍が充実しているのに比して、特別刑法と呼ばれる、刑法以外の犯罪についての書籍は、正直、充実していない。それでも、昔は、特別刑法についても、コンメンタールなどが出版されていたのだが、ロースクール開講後は、学者の先生も刑法の教育用の教材を書く例が多くなり、そのあおりからか、特別刑法の本は、いわゆる実務書は別にすると、経済刑法と環境刑法以外は、近時はほとんど出版されていない。

このような状況の下で、コンパクトにノート代わりにも使えるような特別刑法の本を探すのは容易ではない。そのような中で、この本は、今回の4訂版から、関連条文も記載されるようになったので、情報をまとめる本として使えると考えて、購入し、通読した(ノート代わりに使うためには、通読して、最低限、どのあたりに掲載されている話なのか、本にはどの程度記載されているのかを把握しておくことは、必須であると思う。)。

弊事務所では、民事事件に限らず、刑事事件についても対応をさせていただいております。もちろん、刑法犯だけでなく、それ以外の、いわゆる特別法犯の弁護も行っておりますので、何かお困りごとがあれば、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖



投稿者 林浩靖法律事務所

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