所長ブログ
2014年2月 4日 火曜日
[書評]石井一正 刑事事実認定入門(第2版)(判例タイムズ社)
1冊、書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「刑事事実認定入門」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
本書の著者は、元札幌高等裁判所の長官で、刑事畑を長く歩んだ裁判官である。著者もはしがきで指摘しているが、「刑事裁判における事実認定の重要性や困難性」(はしがきⅳ頁)は、実務に携わる者全員が感じていることだろう。当職は、法科大学院制度が導入される前に弁護士になったので、事実認定を初めて勉強したのは、司法研修所での前期修習であった。しかしながら、良い参考書は正直なかった。法科大学院制度が誕生し、法科大学院で学生に事実認定も教えなくなったため、いろいろな本が出版されるようになった。ただ、事実認定が、どうしても事例判断的な要素が強い分野であることもあり、判例を分析したようなものは多いが、本書のように考え方をまとめた本は少ない。
本書は、証拠構造でまとめているので、例えば、犯人性(犯人と被告人の同一性)の検討方法が、自白のような直接証拠がある場合は、66頁以下、状況証拠で認定しなければならない場合は、119頁以下に分かれているなど、若干使いにくい部分もあるが、基本的な判例はきちんと押さえたうえで、考え方をまとめている本として、有益だろう。法科大学院生だけでなく、実務家にとっても、考え方を押さえるための書籍として有益である。本文141頁の薄い本なので、一気に読めるところもよい。法科大学院生には、ぜひ、最初に読んでほしい書物であるし、勉強した内容をまとめて、情報を補充、整理していくと、いつでも参照できる刑事事実認定の書籍に育つだろう。
林浩靖法律事務所では、刑事事件だけでなく、民事事件についても最良のサービスを提供できるように、常に情報をブラッシュアップしていますので、何かお困りごとがございましたら、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
本書の著者は、元札幌高等裁判所の長官で、刑事畑を長く歩んだ裁判官である。著者もはしがきで指摘しているが、「刑事裁判における事実認定の重要性や困難性」(はしがきⅳ頁)は、実務に携わる者全員が感じていることだろう。当職は、法科大学院制度が導入される前に弁護士になったので、事実認定を初めて勉強したのは、司法研修所での前期修習であった。しかしながら、良い参考書は正直なかった。法科大学院制度が誕生し、法科大学院で学生に事実認定も教えなくなったため、いろいろな本が出版されるようになった。ただ、事実認定が、どうしても事例判断的な要素が強い分野であることもあり、判例を分析したようなものは多いが、本書のように考え方をまとめた本は少ない。
本書は、証拠構造でまとめているので、例えば、犯人性(犯人と被告人の同一性)の検討方法が、自白のような直接証拠がある場合は、66頁以下、状況証拠で認定しなければならない場合は、119頁以下に分かれているなど、若干使いにくい部分もあるが、基本的な判例はきちんと押さえたうえで、考え方をまとめている本として、有益だろう。法科大学院生だけでなく、実務家にとっても、考え方を押さえるための書籍として有益である。本文141頁の薄い本なので、一気に読めるところもよい。法科大学院生には、ぜひ、最初に読んでほしい書物であるし、勉強した内容をまとめて、情報を補充、整理していくと、いつでも参照できる刑事事実認定の書籍に育つだろう。
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