所長ブログ

2014年3月 6日 木曜日

[書評]山内晋次 NHKさかのぼり日本史外交篇[9]平安・奈良 外交から貿易への大転換ーなぜ、大唐帝国との国交は途絶えたのか(NHK出版)


久しぶりに、1冊、書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「NHKさかのぼり日本史外交篇[9]平安・奈良 外交から貿易への大転換ーなぜ、大唐帝国との国交は途絶えたのか」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。

本書は、以前に書評をした「NHKさかのぼり日本史外交篇[7]室町"日本国王"と勘合貿易ーなぜ、足利将軍家は中華皇帝に「朝貢」したのか」(該当する記事はこちら)と同じシリーズの平安・奈良時代編で、著者の山内晋次氏は、神戸女子大学文学部教授である。

このシリーズは、通常の歴史の本とは異なり、現代の方から、過去へさかのぼっていくという体裁になっているので、高校レベルの日本史は身についていないと読みにくい本だが、内容的には、最新の研究成果に基づいて、通説的な見解に対する厳しい問題提起が行われている面白い本である。例えば、平清盛による日宋貿易の独占という通説的な見解についても、「清盛とその一門はけっして、日宋貿易を独占的に支配し、その富を一手に集積するといった、特別な立場にあったわけではない」(33頁)ことを示したうえで、清盛が大輪田泊(現在の神戸港)を整備したのは、「西国からのヒト・モノ・情報などの流れを都に入る前に確実に押さえ、管理することによって、一門の経済的・政治的な基盤を固めることこそが、大輪田泊を確保し、整備するという事業の最大の目的」(46頁)であるとするなど、通説的な知識が覆されていく面白さを感じることができる。

今回は、業務と全く関係がない書籍に書評をさせていただきました。気分転換です。また、気分を新たに、皆様のために頑張らせて頂きたいと思いますので、お困りの際は、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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