所長ブログ
2014年4月 1日 火曜日
[書評]山本博文 NHKさかのぼり日本史外交篇[5]江戸 外交としての"鎖国"ーなぜ、二百年以上の平和が可能だったのか(NHK出版)
1冊、書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「NHKさかのぼり日本史外交篇[5]江戸 外交としての"鎖国" なぜ、二百年以上の平和が可能だったのか」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
本書は、以前に書評をした「NHKさかのぼり日本史外交篇[7]室町"日本国王"と勘合貿易ーなぜ、足利将軍家は中華皇帝に「朝貢」したのか」(該当する記事はこちら)、NHKさかのぼり日本史外交篇[9]平安・奈良 外交から貿易への大転換ーなぜ、大唐帝国との国交は途絶えたのか」(該当する記事はこちら)と同じシリーズの江戸時代編で、東京大学大学院情報学環・史料編纂所教授の山本博文氏の著書である。
「鎖国」というと、全く、外国との関係を断ってしまっているようなイメージを持つが、実際には、長崎だけでなく、朝鮮との窓口になる対馬口、琉球との窓口になる薩摩口、アイヌとの窓口になる松前口に4つの出口が開いていた。もっとも、鎖国自体の目的にしても、あくまで、「キリスト教の影響力を日本に及ぼす可能性のある外国との関係を幕府は断とうとした」(102頁)に過ぎず、完全に国を閉ざそうなどという意図を持ったものではなかった。
そして、既に大航海時代が始まり、世界の一体化が始まっている17世紀に、日本(江戸幕府)がこのような政策を取れたのは、日本に武力があったこともあるが、この政策は、結果的に200年以上の平和を日本にもたらしたものであり、「平和」だからこそ、産業も発展できたのである。その意味で、先人の知恵に感謝しなければならない。
今回は、業務と全く関係がない書籍に書評をさせていただきました。ただ、歴史から学ぶことは多いと思います。勿論、今後も皆様のために頑張らせて頂きたいと思いますので、お困りの際は、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所