所長ブログ

2014年4月 8日 火曜日

[書評]中田裕康 債権総論(第三版)(岩波書店)

1冊、書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、中田教授の「債権総論(第三版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。

著者の中田教授は、東京大学大学院の教授であるが、元弁護士で実務の世界も知っていることもあり、実務的な部分への配慮も抜かりない。その意味で、本書は、実務家にとって使いやすい書物と言える。例えば、「債権総論は、金融取引やサービス取引の基本」と明示して(7頁)、社会的な機能へきちんと配慮している。この点は、内容面でも、わざわざ「債権譲渡の社会的機能」という一節(551頁以下)を設けていることからも、著者がかかる側面にきちんと配慮していることが伺われる。

それと同時に、「『債権総論から契約規範へ』という観点は現在の大きな潮流」(589頁)と学界の大きな流れをきちんと示しつつ、中間試案との関係も591頁以下に対応して検討することが可能なように整理されている。

このように、実務的な必要性と理論的な問題が、きちんとバランスよく論じられており、実務家にとって、使いやすい基本書である(学生にもお勧めできる書物である。)。

林浩靖法律事務所では、理論的な動向もきちんと押さえて、皆様に最良の法的サービスを提供いたしますので、何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。

弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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