所長ブログ
2014年8月 4日 月曜日
[書評]江頭憲治郎 株式会社法(第5版)(有斐閣)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、江頭教授の「株式会社法(第5版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
本書の著者は、早稲田大学大学院法務研究科教授である。江頭教授自身、そのはしがきで、「本書は、...仕事で会社法に携わる実務家が日常に参照することを主に想定した株式会社法の体系書」(1頁)と述べているが、本書は、旧版の時代から、東京地裁商事部(民事第8部)在籍の現役裁判官らの執筆による「類型別会社訴訟/類型別会社非訟」(判例タイムズ社)、高野一郎弁護士の執筆による「会社法実務ハンドブック」(中央経済社)と共に、「会社法三種の神器」の一つと言ってもいい書物であり、当職も、会社法が問題になったときは、まず、参照する書物である。
そのような江頭教授の基本書が、平成26年6月20日の会社法改正に素早く対応して改正されたので、旧版は持っていたが、この機会に最新版を購入して、読み直してみた。この本は、名著であることは間違いないが、対象としているのは実務家(特に、裁判官、弁護士、司法書士)であり、学生などの初学者が使うべき本ではない。この本は、閉鎖会社など通常の基本書ではあまり触れられていない問題にもきちんと触れられており、会社法を実務で使う際には便利であるが、レベルはかなり高く、大学生や法科大学院生では読みこなすのは無理であろう。司法修習生でもかなり厳しいと思われるレベルである。これらの方には、別の体系書を基本書として、この本は使うとしても辞書代わりとして、手になじませる程度にのみ使うことを勧めたい。逆に、実務家には、本当に頼りになる基本書であり、調べ物のとっかかりにも便利である。
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弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所