所長ブログ
2015年7月15日 水曜日
[書評]淡路剛久・吉村良一・除本理史編 福島原発事故賠償の研究(日本評論社)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、淡路剛久・吉村良一・除本理史編集の「福島原発事故賠償の研究」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。
この本は、当職も何度か研究会に参加させて頂いている福島原発事故賠償問題研究会での報告に基づく論文集であり、編者を含む17人による20本の論文と各地の集団訴訟の状況を示す資料が掲載されている。
2011(平成23)年3月11日の東日本大震災を契機に東京電力株式会社の福島第一原子力発電所で発生した原発事故は、広範かつ深刻な被害をもたらしている。その「被害全体の特徴としては、①類例のない被害規模の大きさ、②被害の継続性・長期化、③暮らしの根底からの全面的破壊、④被害の不可予測性など」(2頁)があり、主に交通事故を念頭に発達してきた「これまでの損害賠償法理論だけでは解決できない様々な問題」が生じている(はしがきⅰ頁)。
そして、福島原発事故賠償問題研究会には、原発事故被災者の救済に取り組んでいる全国の弁護団も参加しているので、本書を弁護団で一括購入し、それを当職も分けて頂いたわけであるが、「問題解決を目指すための理論的な手がかりを示す」(はしがきⅱ頁)ための論文集であるから、原発事故被災者の救済に取り組んでいる当職のような弁護士には、まさにバイブルになる書物である。
この分野は、日々、状況が変わっていると言っても過言ではなく、情報のキャッチアップも大変ではあるが、最新情報を常にキャッチアップして、これからも原発事故被災者のために頑張りたいと思います。
また、原発事故以外についての情報も、常にキャッチアップするように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所