所長ブログ
2015年12月 9日 水曜日
[書評]濱田武士・小山良太・早尻正宏「福島に農林漁業を取り戻す」(みすず書房)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「福島に農林漁業を取り戻す」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。
本書は、濱田武士東京海洋大学海洋科学部准教授、小山良太福島大学経済経営学類教授、早尻正宏山形大学准教授の共著である。なお、著者には名前を連ねていないが、補論は石井秀樹福島大学特任准教授が執筆されている。
福島第一原発事故の被災地である福島県は、農山村が広がっており、「日本農業の縮図」(38頁)であり、漁業、林業も含め、農林水産業が占める割合が大きい。本書は、「消費者の安心を確保するためには、放射性物質の検査体系の体系化と組織体制の整備が必要」(94頁)としている。ある意味、当たり前のことである、そして、「事故対応の基本は、被害状況を調査し、損害規模を把握したうえで、復旧可能かどうか、無理ならばどのような復興過程が描けるのかを現状分析をもとに考える必要があるが、原子力災害ではこのようなプロセスがとられていない」(70頁)という問題の根本を示し、農林漁業を再生するための課題と現状を示している。
当職も、福島原発事故被災者の損害賠償請求訴訟に携わっているが、少しでも、原発事故被害者に寄り添えるように頑張っていきたいという決意を新たにしました。また、原発事故以外の事件も親身に取り組んでおりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所