所長ブログ
2016年11月 7日 月曜日
[書評]日笠端・日端康雄 都市計画【第3版増補】(共立出版)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「都市計画【第3版増補】」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。
本書の著者である日笠端氏は東京大学名誉教授、日端康雄氏は慶応義塾大学名誉教授であり、共に工学博士である。当職がまだ大学生だったときの教養科目で、この本の旧版(第3版)が、参考書として指定されていたが、そのときは、日笠名誉教授の単著であった。平成27年に発行された増補版から日端名誉教授との共著となっている。
本書は、「都市計画総論というべきもので、都市計画に関する重要な事項を比較的広範囲に取り上げ、出来るだけ体系化し、大学で都市計画を学ぶ学生が一通り知っておかなければならない程度の事項を総論的に述べる」(第3版増補にあたって2頁)書物である。「都市計画は一方においてプランナーによる個性のある発想に負うところが大きく、一方においては公的な利益と私権の調整を衡量しつつ、法律・制度によって計画の実現をはからなければならないという特質をもっている」(2頁)から、制度への理解は不可欠であり、その制度は、日本では、都市計画法を中心に定められている。
そのため、本書は法律書ではなく、工学者が著者であるため、本質的には理系のテキストなのだが、都市計画法の枠組み、そのバックグラウンドが、歴史や技術的な部分を含め、論じられている。さらに、都市計画法11条の規定には、「計画の体系の中に、地区計画というものを明確に位置付けていないことから生ずる概念の混乱」があること(263頁)など、法令の問題点も指摘されている。都市計画法などは、技術的な制約や要求があるものであり、法令だけを見ていても、既定の意味がよく理解できないことがある。そのような法令の場合、背景の理解が重要であるが、本書は、都市計画の基本書であり、都市計画法の背景を理解させてくれる貴重な書物である。
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弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所