所長ブログ

2017年2月22日 水曜日

[書評]西木正明 オホーツク諜報船(角川文庫)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「オホーツク諜報船」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

かつて、当職がまだ小学生だった頃、北海道の向こうには、ソビエト社会主義共和国連邦、ソ連という国があった。本書は、その「ソ連国境警備隊に情報提供や物資運搬に協力する。その見返りに、北方領土水域での自由操業が認められ」たレポ船についての、ノンフィクション・ノベルである。人名などは、一部仮名になっているが、内容自体は、取材に基づくもので、ほぼ事実のようである。

日本は太平洋戦争の敗戦により、北方領土の実効支配を失い、北方領土は今もロシアの実効支配下にある。そのため、北方領土近海の漁場を失った漁業者たちが、生活の維持のため、東西冷戦、千島・樺太に残留し帰国できなかった朝鮮人などが織りなす中で、ソ連のレポ船と活動していき、国家の動きの中で、日本で、ソ連でときに犯罪者になり、ときには命を落としていく有り様が紡がれている。

ソ連は、1991年に崩壊し、レポ船も無くなった。ただ、今日でも、闇の世界は残っているはずである。国際化の時代、その明と暗を考えさせられる書物であった。

林浩靖法律事務所では、法律に限らず、隣接分野についても常に研鑽を怠らず、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただく所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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