所長ブログ
2017年4月26日 水曜日
[書評]厳家祺・高皋 著 辻康吾 監訳 文化大革命十年史(下)(岩波現代文庫)
本書は、以前書評をした上巻(該当する記事は、こちら)、中巻(該当する記事は、こちら)に続く下巻であり、江青ら「四人組」が権力を握った時期から、毛沢東の死、そして、華国鋒が「四人組」を失脚させ、そして、鄧小平が復活する時期を描く。
文化大革命の時代、「公安、検察、司法系統はマヒ状態に陥り、このため人々は『無実の罪を申し立てる所もなければ、事件を訴えるところもない』という事態へと陥った。」(28頁)そして、「憲法にとって最も重要な問題の一つは国家の最高権力の交代はいかなる手続きによるのかを明文化して規定せねばならないこと」(359頁)であるが、「毛沢東の生前、最高権力の交代について明文化された規則はついに制定されたことはな」かった(360頁)。
暴力が支配した時代、司法制度が全く機能しなかった時代のあり様と中国の権力闘争の凄まじさを教えてくれる。
文化大革命も、その開始から50年、収束からも40年が経過し、歴史になろうとしている。しかしながら、日本にとっての太平洋戦争の敗戦、韓国にとっての朝鮮戦争と同じく、中国においては文化大革命の影響は、その反動も含めて、まだ、続いている。その経緯や意味は、今なお押さえておく必要があると思う。
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投稿者 林浩靖法律事務所