所長ブログ

2014年8月14日 木曜日

[書評]伊藤眞 民事訴訟法(第4版補訂版)(有斐閣)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「民事訴訟法」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

この本は、以前書評をした「会社更生法」(該当する記事は、こちら)と同じ著者の「民事訴訟法」である。著者は、現在は、早稲田大学大学院法務研究科客員教授であるが、本書は、実務家がよく参照する体系書である。

その最大の理由は、本書が、訴訟物理論について、旧訴訟物理論を採用していることにある。即ち、民事訴訟法学においては、給付訴訟の訴訟物について、「実体法上の請求権の個数に着目」(200頁)して、訴訟物を考える旧訴訟物理論と「給付を求める地位自体を訴訟物と考える」(201頁)新訴訟物理論の対立があり、学界では新訴訟物理論が優勢であるが、実務は旧訴訟物理論によっており、基準の明確性は実務では大きなメリットであるから、旧訴訟物理論によることが揺らぐことはないと思われるところ、本書は、信頼できる学者による旧訴訟物理論の立場からの体系書であり、信頼性は高いので、実務家がよく参照する体系書ということになる訳である。もちろん、体系書であるから、全てが実務と同じ見解という訳ではないが、根本の部分が同じなので、使いやすいことは間違いない。唯一の欠点は、特別手続である「督促手続、手形・小切手訴訟手続、少額訴訟手続」や国際民事訴訟手続が「すべて割愛」(はしがきⅷ頁)されていることであり、ここは問題になったときは、他の体系書で補充する必要があるが、民事訴訟の通常手続については、信頼できる体系書であり、現実の世界では、手続的にギリギリと理論を詰める必要があるような問題は少ないことも考えると、民事訴訟法の体系書はほぼ本書で賄えると言っても過言ではない。

民事訴訟は、弁護士にとって最大の業務であることは現在も変わっておらず、林浩靖法律事務所は、民事訴訟を、多数取り扱っており、必ず、ご満足いただけるサービスをご提供しています。何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。

弁護士 林 浩靖

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2014年8月 7日 木曜日

夏季休暇のお知らせ

弊事務所は、明日8月8日(金)から、14日(木)まで、夏季休暇とさせていただきます。

そのため、本日夕方以降のお問い合わせに関しましては、8月15日(金)以降の回答になりますので、ご了承賜りますようにお願いいたします。

林浩靖法律事務所
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2014年8月 4日 月曜日

[書評]江頭憲治郎 株式会社法(第5版)(有斐閣)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、江頭教授の「株式会社法(第5版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。

本書の著者は、早稲田大学大学院法務研究科教授である。江頭教授自身、そのはしがきで、「本書は、...仕事で会社法に携わる実務家が日常に参照することを主に想定した株式会社法の体系書」(1頁)と述べているが、本書は、旧版の時代から、東京地裁商事部(民事第8部)在籍の現役裁判官らの執筆による「類型別会社訴訟/類型別会社非訟」(判例タイムズ社)、高野一郎弁護士の執筆による「会社法実務ハンドブック」(中央経済社)と共に、「会社法三種の神器」の一つと言ってもいい書物であり、当職も、会社法が問題になったときは、まず、参照する書物である。

そのような江頭教授の基本書が、平成26年6月20日の会社法改正に素早く対応して改正されたので、旧版は持っていたが、この機会に最新版を購入して、読み直してみた。この本は、名著であることは間違いないが、対象としているのは実務家(特に、裁判官、弁護士、司法書士)であり、学生などの初学者が使うべき本ではない。この本は、閉鎖会社など通常の基本書ではあまり触れられていない問題にもきちんと触れられており、会社法を実務で使う際には便利であるが、レベルはかなり高く、大学生や法科大学院生では読みこなすのは無理であろう。司法修習生でもかなり厳しいと思われるレベルである。これらの方には、別の体系書を基本書として、この本は使うとしても辞書代わりとして、手になじませる程度にのみ使うことを勧めたい。逆に、実務家には、本当に頼りになる基本書であり、調べ物のとっかかりにも便利である。

林浩靖法律事務所は、会社法に関する業務を、多数取り扱っており、最新の法改正もきちんとフォローしていますので、必ず、ご満足いただけるサービスをご提供しています。会社法務に限らず、何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。

弁護士 林 浩靖

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2014年7月27日 日曜日

[書評]潮見佳男 基本講義債権各論Ⅱ 不法行為法(第2版)(新世社)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、潮見教授の「基本講義債権各論Ⅱ 不法行為法(第2版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。

本書の著者は、京都大学大学院法学研究科の教授で、特に、債権法の分野で参考になる論考を多数出されている教授である。潮見教授ご自身が、そのはしがきで、「本書は、法学部や法科大学院で獲得した法律知識を社会に活かすことを考えているものならば、学習段階の初期において、不法行為についてこの程度まで理解できておれば当面は十分であろうと思われるところをめざして、書き下ろしたもの」(はしがきⅱ頁)と述べられていますが、その通り、不法行為法の基本的事項について、(潮見教授の著書としては)比較的平易な言葉で述べられているものである。

不法行為法の分野は条文こそ少ないものの、実務的には問題となることが多い分野である。交通事故も金融商品被害も原発事故も不法行為法の一つの類型である。そして、条文が少ないことから、理論をきちんと押さえることが体系的思考を身に着ける上では極めて重要であり、本書のような薄いもののポイントがしっかりまとまっている書籍の有用性は大きい。

当職も、本書で確認した知識も生かしながら、金融商品被害救済や原発事故被災者の被害救済のために、今後とも努力していきたいと思います。また、林浩靖法律事務所は、金融商品被害や原発事故に限らず、多数の分野を取り扱っていますので、何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。

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2014年7月18日 金曜日

[書評]髙木保興・河合明宣 途上国を考える(一般財団法人 放送大学教育振興会)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「途上国を考える」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。この本は、以前書評をした「現代環境法の諸相」(該当する記事は、こちら)と同じく、放送大学の講義用の印刷教材として執筆されている本で、著者の両名は、共に放送大学の教授である。

具体的には、開発経済学の理論を基礎に据えて、「途上国がなぜ貧困から脱出できないのかを考える」書物である。著者の一人である髙木教授が、理論面を執筆し、こちらが本書のメイン部分であり、河合教授は、アジアにおける実例をコラムとして、執筆している。

もっとも、著者自身、「『開発論』はどうすれば開発がうまくいくかという確立した公式を解説するものではない」(4頁)と述べているように、「開発」に、常にうまくいく方法がある訳ではなく、それぞれの国が、自国の長所を活かしながら、他国の経験も踏まえて、必要な条件を整備して、開発を進めていくよりない。その際に、イギリスの産業革命をはじめとする先進国の諸経験を、その「場」を意識しながら活かしていくということになるのだろうと思う。

南北問題は、現代においても、なお大きな問題であり、グローバル化した現代だからこそ、日本においても影響があらわれてきます。林浩靖法律事務所では、外国人問題も取り扱っていますし、また、ビジネスの現場では、常に、世界を意識する必要があるでしょう。これからも、世界を取り巻く問題についても、情報収集は怠らず、皆様に最良の法的サービスを提供できるように研鑽いたしますので、何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。

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