所長ブログ
2014年6月 2日 月曜日
[書評]吉村良一 不法行為法(第4版)(有斐閣)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「不法行為法」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
本書の著者は、立命館大学法科大学院教授であり、ご専門は、不法行為法、環境法である。特に、公害関係の問題に関しては、優れたご論考が多く、原発事故被災者に関する事件の処理の際には、参考にさせて頂いている論文も多い。
本書は、その吉村教授による「不法行為法の『標準的な教科書ないし参考書』をめざして執筆」された書物である(はしがきⅲ頁)。不法行為法は、条文が少ないにもかかわらず、適用される範囲は広範にわたり、条文が、特に、抽象的なためどうしても何かあいまいな気分が残る分野ではある。しかしながら、実務ではよく使う分野の一つであり、当然、この分野が苦手ということは許されない。本書は、「不法行為の目的の第一は、生じた損害を填補し、原状を回復することにより被害者を救済すること」(16頁)という点を基本的な視点に据えて、不法行為法を解説するものであり、学生向けであるから分かり易いものであるが、著者が公害関係の問題を中心にご研究されていることもあり、被害者救済という観点がきちんと押さえられている。
原発事故もその一種ですが、公害関係の事件は、どうしても大半の資料は加害者が握っているということもあり、また、金銭に換算することが困難な、しかし、以前は存在し利益を享受できるものがあったことも確かなものが多く存在することもあり、被害者側の弁護士は大変、苦労するものになります。その際に、本書は、頼りになる基本書といえます。
当職は、本書で得て知識も生かして、原発事故被災者のためにさらに頑張る所存ですし、また、原発事故以外についても基本を重視して語彙ら使者様の為に最善を尽くすように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
本書の著者は、立命館大学法科大学院教授であり、ご専門は、不法行為法、環境法である。特に、公害関係の問題に関しては、優れたご論考が多く、原発事故被災者に関する事件の処理の際には、参考にさせて頂いている論文も多い。
本書は、その吉村教授による「不法行為法の『標準的な教科書ないし参考書』をめざして執筆」された書物である(はしがきⅲ頁)。不法行為法は、条文が少ないにもかかわらず、適用される範囲は広範にわたり、条文が、特に、抽象的なためどうしても何かあいまいな気分が残る分野ではある。しかしながら、実務ではよく使う分野の一つであり、当然、この分野が苦手ということは許されない。本書は、「不法行為の目的の第一は、生じた損害を填補し、原状を回復することにより被害者を救済すること」(16頁)という点を基本的な視点に据えて、不法行為法を解説するものであり、学生向けであるから分かり易いものであるが、著者が公害関係の問題を中心にご研究されていることもあり、被害者救済という観点がきちんと押さえられている。
原発事故もその一種ですが、公害関係の事件は、どうしても大半の資料は加害者が握っているということもあり、また、金銭に換算することが困難な、しかし、以前は存在し利益を享受できるものがあったことも確かなものが多く存在することもあり、被害者側の弁護士は大変、苦労するものになります。その際に、本書は、頼りになる基本書といえます。
当職は、本書で得て知識も生かして、原発事故被災者のためにさらに頑張る所存ですし、また、原発事故以外についても基本を重視して語彙ら使者様の為に最善を尽くすように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所 | 記事URL
2014年5月26日 月曜日
横浜家庭裁判所
今日は、遺言書の検認手続のため、横浜家庭裁判所に行きました。関東地方の多くの裁判所では、地方裁判所と家庭裁判所は併設されていることが多いのですが、横浜は珍しく、地裁と家裁の場所が離れています。横浜地方裁判所は、現在、ある依頼者の事件が係属していることもあり、何度も通っていますが、横浜家庭裁判所は初めてです。横浜地方裁判所は、みなとみらい線の日本大通り駅の前ですから交通の便は最高ですが、横浜家庭裁判所は、JR根岸線の関内駅と石川町駅の間で、少し歩きますし、奥まった探しにくいところにありますが、無事、たどり着きました。
遺言書の検認も、無事に終わり何よりでした。
東京・池袋所在の林浩靖法律事務所では、地方の裁判所の事件でもきちんと処理させて頂きますので、何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。
弁護士 林 浩靖
遺言書の検認も、無事に終わり何よりでした。
東京・池袋所在の林浩靖法律事務所では、地方の裁判所の事件でもきちんと処理させて頂きますので、何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所 | 記事URL
2014年5月19日 月曜日
[書評]加藤謙吉・仁藤敦史・設楽博己 NHKさかのぼり日本史外交篇[10]飛鳥~縄文 こうして"クニ"が生まれた-なぜ、列島に「日本」という国ができたのか(NHK出版)
1冊、書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「NHKさかのぼり日本史外交篇[10]飛鳥~縄文 こうして"クニ"が生まれた-なぜ、列島に「日本」という国ができたのか」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
本書は、以前に書評をした「NHKさかのぼり日本史外交篇[5]江戸 外交としての"鎖国" なぜ、二百年以上の平和が可能だったのか」(該当する記事はこちら)、「NHKさかのぼり日本史外交篇[7]室町"日本国王"と勘合貿易-なぜ、足利将軍家は中華皇帝に「朝貢」したのか」(該当する記事はこちら)、NHKさかのぼり日本史外交篇[9]平安・奈良 外交から貿易への大転換-なぜ、大唐帝国との国交は途絶えたのか」(該当する記事はこちら)と同じシリーズの最終巻で、3人の歴史学者の共書である。
日本という国で、外交が意味を持つようになったのは、弥生時代である。本書に、「弥生時代は穀物濃厚の波及と受容に始まるように、外交がきわめて大きな意味をもつ時代であった。それを契機として、戦争や人口の増加、都市化、階級の発生伴う人々の差別化、外交問題など今日の国際問題を含む現代に通じる諸矛盾を抱えるようになった時代として、ある意味では日本列島の歴史のなかでもっとも大きな分水嶺であった」(182頁)とあるが、ここに、歴史を学ぶ意味も必要性も含まれていると思う。即ち、現代に通じる諸問題が存在するようになったからこそ、歴史を学ぶ必要が生じ、また、国際社会との付き合いが始まったからこそ外交が誕生したのである。
日本も、世界の一部であり、「日本列島も東アジア社会の一員として大陸の情勢と切り離すことなく理解していくことが強く求められる」(157頁)とあるが、弥生時代は、対外交渉は、中国大陸、朝鮮半島に限られていたから、このようになるが、現代なら、「世界の一員として世界情勢と切り離さずに考えていく必要がある」ということになろう。
勿論、当職の仕事は、目の前の依頼者の方の困りごとを、一つずつ解決していくことにつきる訳であるが、国内・世界の経済情勢などによっても生じる事件は異なってくることになるのであり、教養の重要性を実感しているところである。そして、教養の一つである歴史から学ぶことは多いと思います。勿論、今後も皆様のために頑張らせて頂きたいと思いますので、お困りの際は、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所 | 記事URL
2014年5月 6日 火曜日
[書評]金子宏 租税法(第19版)(法律学講座叢書)(弘文堂)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、金子名誉教授の「租税法(第19版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
本書の著者は、東京大学名誉教授であり、租税法の分野では、まさに第一人者といえる方である。この本は、以前書評をした平井名誉教授の「債権各論Ⅰ上契約総論」(該当する記事は、こちら)と同じく、法律学講座叢書シリーズの1冊であるが、この本は、学生向けの教科書というよりは、「理論と制度の両面から現行租税法の全体をカバー」(序ⅲ頁)する本文が971ページに及ぶ重厚な体系書であり、実務家が租税法の基本書を持つ場合、通常、この書物を持つことが多いだろう。特に、「平成17年以降、毎年、本書の改訂」が行われており(序ⅰ頁)、常に最新の情報に更新されているという点でも、実務家が安心して使える書物である。事件処理の際には、この本を手引きに、法律や通達の内容を確認しながら、処理していくことになる。
そして、今年も改訂されたので、新版を購入したので、この機会に読み直してみた。税法の条文には、読みにくいものが多いので、本書のような手引きがあることは本当にありがたいと思う。勿論、最新の改正に対応している。
林浩靖法律事務所は、租税法に限らず、最新の情報をきちんとフォローしていますので、必ず、ご満足いただけるサービスをご提供しています。何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。
弁護士 林 浩靖
本書の著者は、東京大学名誉教授であり、租税法の分野では、まさに第一人者といえる方である。この本は、以前書評をした平井名誉教授の「債権各論Ⅰ上契約総論」(該当する記事は、こちら)と同じく、法律学講座叢書シリーズの1冊であるが、この本は、学生向けの教科書というよりは、「理論と制度の両面から現行租税法の全体をカバー」(序ⅲ頁)する本文が971ページに及ぶ重厚な体系書であり、実務家が租税法の基本書を持つ場合、通常、この書物を持つことが多いだろう。特に、「平成17年以降、毎年、本書の改訂」が行われており(序ⅰ頁)、常に最新の情報に更新されているという点でも、実務家が安心して使える書物である。事件処理の際には、この本を手引きに、法律や通達の内容を確認しながら、処理していくことになる。
そして、今年も改訂されたので、新版を購入したので、この機会に読み直してみた。税法の条文には、読みにくいものが多いので、本書のような手引きがあることは本当にありがたいと思う。勿論、最新の改正に対応している。
林浩靖法律事務所は、租税法に限らず、最新の情報をきちんとフォローしていますので、必ず、ご満足いただけるサービスをご提供しています。何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所 | 記事URL
2014年4月29日 火曜日
[書評]中谷巌 資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言(集英社インターナショナル)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、中谷名誉教授の「資本主義はなぜ自壊したのか」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
本書の著者は、一橋大学名誉教授であり、多摩大学学長なども務めた近代経済学を専門とする経済学者で、小泉改革の一翼も担った人物である。以前、一度読んだ本であるが、今回、この本を読みなおそうと思ったのは、現在、アベノミクスなる訳のわからない支離滅裂な経済政策が日本で行われており、格差社会の拡大を招いているので、経済学の限界も含めて、新自由主義の限界をもう一度確認したいと思ったからである。
近代経済学には、合理的な経済主体を想定するために、「『利益は二の次』という考え方は、経済学ではすべて捨象されてしまう」(55頁)という問題がある。これは、経済学がモデルを作って議論する学問であり、モデルを作る上で置かざるを得ない仮定であり、そのために論理で議論できるようになるとはいえ、そのために、現実とはどうしても乖離が出てしまうのである。
そして、現実世界を考えたとき、近代経済学には、次のような限界が生じる。「近代経済学の論理は、まず、完全競争の仮定のところで無理があり(情報は平等に配分されていない)、所得再配分のところでは、民主主義による再配分機能を過大に評価していると言えるだろう。また、地球環境破壊のような『外部性』の制御についても有効な手立てを提供することに失敗している。」(111頁)
これは、経済学自体の限界であるが、さらに、もう一つ問題がある。近代経済学は、イギリスで生まれ、アメリカで発達した学問であり、アメリカの歴史や文化に裏付けられているといえる。しかも、アメリカは歴史の短い新しい国で、「稀にみる『理念国家』」(176頁)であるから、文化や社会といった要素を捨象することが許されるとしても、「歴史も文化的伝統もまったく異なるアメリカ型の資本主義を日本がそのまま受け入れる必然性はどこにもない」(366頁)はずであるが、既に、アメリカで大失敗したレーガノミクスの劣化コピーとしか言いようのないアベノミクスが行われ、格差は拡大している。まさに、社会保障法で保護を考えねばならない段階に入っていると思う。
法律事務所でできることには限界があるかもしれませんが、中小企業の皆さんや社会的弱者の皆さんに少しでも寄り添っていきたいと思いますので、何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。
弁護士 林 浩靖
本書の著者は、一橋大学名誉教授であり、多摩大学学長なども務めた近代経済学を専門とする経済学者で、小泉改革の一翼も担った人物である。以前、一度読んだ本であるが、今回、この本を読みなおそうと思ったのは、現在、アベノミクスなる訳のわからない支離滅裂な経済政策が日本で行われており、格差社会の拡大を招いているので、経済学の限界も含めて、新自由主義の限界をもう一度確認したいと思ったからである。
近代経済学には、合理的な経済主体を想定するために、「『利益は二の次』という考え方は、経済学ではすべて捨象されてしまう」(55頁)という問題がある。これは、経済学がモデルを作って議論する学問であり、モデルを作る上で置かざるを得ない仮定であり、そのために論理で議論できるようになるとはいえ、そのために、現実とはどうしても乖離が出てしまうのである。
そして、現実世界を考えたとき、近代経済学には、次のような限界が生じる。「近代経済学の論理は、まず、完全競争の仮定のところで無理があり(情報は平等に配分されていない)、所得再配分のところでは、民主主義による再配分機能を過大に評価していると言えるだろう。また、地球環境破壊のような『外部性』の制御についても有効な手立てを提供することに失敗している。」(111頁)
これは、経済学自体の限界であるが、さらに、もう一つ問題がある。近代経済学は、イギリスで生まれ、アメリカで発達した学問であり、アメリカの歴史や文化に裏付けられているといえる。しかも、アメリカは歴史の短い新しい国で、「稀にみる『理念国家』」(176頁)であるから、文化や社会といった要素を捨象することが許されるとしても、「歴史も文化的伝統もまったく異なるアメリカ型の資本主義を日本がそのまま受け入れる必然性はどこにもない」(366頁)はずであるが、既に、アメリカで大失敗したレーガノミクスの劣化コピーとしか言いようのないアベノミクスが行われ、格差は拡大している。まさに、社会保障法で保護を考えねばならない段階に入っていると思う。
法律事務所でできることには限界があるかもしれませんが、中小企業の皆さんや社会的弱者の皆さんに少しでも寄り添っていきたいと思いますので、何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所 | 記事URL