所長ブログ
2014年3月12日 水曜日
[書評]竹森俊平 国際経済学(プログレッシブ経済学シリーズ)(東洋経済新報社)
2週連続になりますが、書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「国際経済学」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
本書の著者は、慶応義塾大学経済学部教授である。私事になるが、当職は、慶応義塾大学経済学部出身であり、もう15年ほど前になるが、大学2年生のときに、著者の「世界の経済」を、3年生のときに、「国際経済論」を受講した。この本は、その「国際経済論」の授業で教科書として指定されていた書物である。著者は、優しい先生で、単位の取りやすい科目ではあったが、内容は結構高度で、かつ、説明も丁寧になされていた。
本書で取り扱っている「内容の中心は、国際貿易の『理論』」(はしがきⅰ頁)であるが、「生産要素の国際移動が自由な世界では、生産は絶対優位にしたがっておこなわれるが、自由な国際貿易のみが可能な世界では、生産は比較優位にしたがって行われる」(7頁から8頁)という結論を示すべく、国際経済学の理論の内容を説明している。記述自体は分かり易いが、ミクロ経済学の応用分野なので、ミクロ経済学の一定レベルの知識があることは読む前提となる。なお、近代経済学は、モデルを用いて議論する学問なので、一定の仮定が置かれざるを得ない。国際経済学の場合、原則的な仮定として、「材は国と国との間の移動が自由であるのに対して、生産要素は国と国との間の移動がまったく不可能」(6頁)という仮定が置かれている。現実には、日本にも外国人労働者がいることからわかるように、生産要素である労働力も国と国との間を移動しているわけで、経済理論が、即、現実に妥当するわけではない。しかし、ある種の「単純化」がなければ、議論は拡散するし、意味のあるものにもならない。「仮定」の内容とその現実的な妥当性を考えながら、理論を現実に応用していくべきではないだろうか。経済理論は、かかる観点を持てば、現実の分析に活かすことができるし、また、現在、「貿易」を全く考えずに、生活することなど不可能だろう。大企業は言うに及ばず、中小企業だって、他国の影響を間接的であれ、受ける時代なのだから。
林浩靖法律事務所では、企業法務も外国人問題も取り扱っていますし、また、ビジネスの現場では、常に、世界を意識する必要があります。これからも、世界を取り巻く問題を考えるのに役立つ理論についても、情報収集は怠らず、皆様に最良の法的サービスを提供できるように研鑽いたしますので、何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。
弁護士 林 浩靖
本書の著者は、慶応義塾大学経済学部教授である。私事になるが、当職は、慶応義塾大学経済学部出身であり、もう15年ほど前になるが、大学2年生のときに、著者の「世界の経済」を、3年生のときに、「国際経済論」を受講した。この本は、その「国際経済論」の授業で教科書として指定されていた書物である。著者は、優しい先生で、単位の取りやすい科目ではあったが、内容は結構高度で、かつ、説明も丁寧になされていた。
本書で取り扱っている「内容の中心は、国際貿易の『理論』」(はしがきⅰ頁)であるが、「生産要素の国際移動が自由な世界では、生産は絶対優位にしたがっておこなわれるが、自由な国際貿易のみが可能な世界では、生産は比較優位にしたがって行われる」(7頁から8頁)という結論を示すべく、国際経済学の理論の内容を説明している。記述自体は分かり易いが、ミクロ経済学の応用分野なので、ミクロ経済学の一定レベルの知識があることは読む前提となる。なお、近代経済学は、モデルを用いて議論する学問なので、一定の仮定が置かれざるを得ない。国際経済学の場合、原則的な仮定として、「材は国と国との間の移動が自由であるのに対して、生産要素は国と国との間の移動がまったく不可能」(6頁)という仮定が置かれている。現実には、日本にも外国人労働者がいることからわかるように、生産要素である労働力も国と国との間を移動しているわけで、経済理論が、即、現実に妥当するわけではない。しかし、ある種の「単純化」がなければ、議論は拡散するし、意味のあるものにもならない。「仮定」の内容とその現実的な妥当性を考えながら、理論を現実に応用していくべきではないだろうか。経済理論は、かかる観点を持てば、現実の分析に活かすことができるし、また、現在、「貿易」を全く考えずに、生活することなど不可能だろう。大企業は言うに及ばず、中小企業だって、他国の影響を間接的であれ、受ける時代なのだから。
林浩靖法律事務所では、企業法務も外国人問題も取り扱っていますし、また、ビジネスの現場では、常に、世界を意識する必要があります。これからも、世界を取り巻く問題を考えるのに役立つ理論についても、情報収集は怠らず、皆様に最良の法的サービスを提供できるように研鑽いたしますので、何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。
弁護士 林 浩靖
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2014年3月 6日 木曜日
[書評]山内晋次 NHKさかのぼり日本史外交篇[9]平安・奈良 外交から貿易への大転換ーなぜ、大唐帝国との国交は途絶えたのか(NHK出版)
久しぶりに、1冊、書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「NHKさかのぼり日本史外交篇[9]平安・奈良 外交から貿易への大転換ーなぜ、大唐帝国との国交は途絶えたのか」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
本書は、以前に書評をした「NHKさかのぼり日本史外交篇[7]室町"日本国王"と勘合貿易ーなぜ、足利将軍家は中華皇帝に「朝貢」したのか」(該当する記事はこちら)と同じシリーズの平安・奈良時代編で、著者の山内晋次氏は、神戸女子大学文学部教授である。
このシリーズは、通常の歴史の本とは異なり、現代の方から、過去へさかのぼっていくという体裁になっているので、高校レベルの日本史は身についていないと読みにくい本だが、内容的には、最新の研究成果に基づいて、通説的な見解に対する厳しい問題提起が行われている面白い本である。例えば、平清盛による日宋貿易の独占という通説的な見解についても、「清盛とその一門はけっして、日宋貿易を独占的に支配し、その富を一手に集積するといった、特別な立場にあったわけではない」(33頁)ことを示したうえで、清盛が大輪田泊(現在の神戸港)を整備したのは、「西国からのヒト・モノ・情報などの流れを都に入る前に確実に押さえ、管理することによって、一門の経済的・政治的な基盤を固めることこそが、大輪田泊を確保し、整備するという事業の最大の目的」(46頁)であるとするなど、通説的な知識が覆されていく面白さを感じることができる。
今回は、業務と全く関係がない書籍に書評をさせていただきました。気分転換です。また、気分を新たに、皆様のために頑張らせて頂きたいと思いますので、お困りの際は、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
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2014年2月27日 木曜日
勾留理由開示
刑事訴訟法上、勾留理由開示という手続があります(刑事訴訟法82条以下)。この手続は、勾留されている被疑者・被告人、弁護人その他の一定の利害関係人からの請求に基づいて、公開の法廷で、裁判官がいかなる理由で勾留したかを明らかにする手続ですが、別の目的での使い方として、接見禁止がついている被疑者・被告人に、家族等の顔を見せて、元気づけるために使うということがあります。即ち、この手続は、「公開の法廷」で行われることになっていますから、当然、誰でも傍聴できるわけです。そのために、接見禁止がついて、弁護人としか面会できない被疑者・被告人でも、顔を見ることはできるわけです(会話はできません)。そのため、精神的に厳しい状況に置かれている被疑者・被告人を元気づける目的も兼ねて、この手続きを使うことがあります。
京都で逮捕されているご依頼者のために、今日は、ご依頼者のご両親にも京都に来ていただいて、勾留理由開示の手続きをしました。前夜の会議を終えて、夜9時の新幹線で大阪入りして、午前中に事前の打ち合わせをするというあわただしい日程でしたが、依頼者の方も、少しは元気を取り戻したようで、ほっとしました。
早期釈放へ向けて、これからも頑張りたいと思います。
東京・池袋所在の林浩靖法律事務所では、刑事事件に限らず、どのような事件でも、最良のサービスをご提供しますので、お困りの際には、ぜひ、林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
京都で逮捕されているご依頼者のために、今日は、ご依頼者のご両親にも京都に来ていただいて、勾留理由開示の手続きをしました。前夜の会議を終えて、夜9時の新幹線で大阪入りして、午前中に事前の打ち合わせをするというあわただしい日程でしたが、依頼者の方も、少しは元気を取り戻したようで、ほっとしました。
早期釈放へ向けて、これからも頑張りたいと思います。
東京・池袋所在の林浩靖法律事務所では、刑事事件に限らず、どのような事件でも、最良のサービスをご提供しますので、お困りの際には、ぜひ、林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
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2014年2月23日 日曜日
船引へ
東京・池袋にて、皆様のためにいつも頑張っている、弁護士の 林 です。
今週は、火曜日には京都へ出張しましたが、今日は、福島県田村市船引町への出張です。以前にも、ブログを書いた(該当する記事は、こちら)都路町からの避難者の事件が、本格的に始まることになり、そのための打ち合わせです。
原発事故の被災者のために頑張ることもこれからも続けていきたいと思いますし、もちろん、それ以外のことでお困りの方にも、これ
からも寄り添っていきたいと思いますので、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋の林浩靖法律事務所にご相談ください。
今週は、火曜日には京都へ出張しましたが、今日は、福島県田村市船引町への出張です。以前にも、ブログを書いた(該当する記事は、こちら)都路町からの避難者の事件が、本格的に始まることになり、そのための打ち合わせです。
原発事故の被災者のために頑張ることもこれからも続けていきたいと思いますし、もちろん、それ以外のことでお困りの方にも、これ
からも寄り添っていきたいと思いますので、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋の林浩靖法律事務所にご相談ください。
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2014年2月18日 火曜日
京都
昨日の午後、1本の電話がかかってきました。
相手:「京都の○×警察署の△□ですが、うちで逮捕した●▲が、林先生に電話してくださいと言っているので電話しました。」
当職:「分かりました。明日か明後日には伺うと本人にお伝えください。」
この●▲さんは、当職が以前に法律相談を受けたことにある方ですが、取引先が、●▲さんの会社から納入を受けたモノを使って犯罪をしていたというだけであって、、●▲さんの会社は、納入先が東京都から業務停止命令を受けて、違法行為に利用していることが分かった時点で取引を打ち切っており、到底、●▲さんに犯罪が成立するとは思えない事件でしたし、そもそも受けていた法律相談は、取引を打ち切った後、売掛金が入ってこなくなったので、どうすればよいかというものでしたから、まさに、踏んだり蹴ったりとしか言いようがない事件です。しかも、逮捕されたのが、京都の警察署ということで、京都まで連れて行かれたということですから、東京からでは、頻繁に接見に行くのが難しいので、関西の知り合いの弁護士に一緒にやってもらう方が良いと考えて、昨日のうちに、司法修習の同期同クラスで、弁護士としての経験・能力的にも信頼がおける大阪の東山俊先生に一緒にやってもらうようにお願いしました。ということで、急遽、今日は、京都へ行き、東山先生と落ち合って、接見に行きました。京都へ着き、警察署の最寄駅で、東山先生と落ち合って、接見に行きました。京都は、小雪が舞っていました。
●▲さんを励まし、簡単な注意事項を伝えた後は、東京へ戻ることになります。完全な不当逮捕としか言いようがない事案ですから、不起訴処分という本人にとって最善の結果が出るように出るように全力を尽くします。
林浩靖法律事務所では、地方の案件等、必要があれば、他の事務所の弁護士とも連携して、ご依頼者様にとって最善の結果が出るような体制を取っておりますので、刑事事件に限らず、お困りごとがあれば、ぜひ、林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
相手:「京都の○×警察署の△□ですが、うちで逮捕した●▲が、林先生に電話してくださいと言っているので電話しました。」
当職:「分かりました。明日か明後日には伺うと本人にお伝えください。」
この●▲さんは、当職が以前に法律相談を受けたことにある方ですが、取引先が、●▲さんの会社から納入を受けたモノを使って犯罪をしていたというだけであって、、●▲さんの会社は、納入先が東京都から業務停止命令を受けて、違法行為に利用していることが分かった時点で取引を打ち切っており、到底、●▲さんに犯罪が成立するとは思えない事件でしたし、そもそも受けていた法律相談は、取引を打ち切った後、売掛金が入ってこなくなったので、どうすればよいかというものでしたから、まさに、踏んだり蹴ったりとしか言いようがない事件です。しかも、逮捕されたのが、京都の警察署ということで、京都まで連れて行かれたということですから、東京からでは、頻繁に接見に行くのが難しいので、関西の知り合いの弁護士に一緒にやってもらう方が良いと考えて、昨日のうちに、司法修習の同期同クラスで、弁護士としての経験・能力的にも信頼がおける大阪の東山俊先生に一緒にやってもらうようにお願いしました。ということで、急遽、今日は、京都へ行き、東山先生と落ち合って、接見に行きました。京都へ着き、警察署の最寄駅で、東山先生と落ち合って、接見に行きました。京都は、小雪が舞っていました。
●▲さんを励まし、簡単な注意事項を伝えた後は、東京へ戻ることになります。完全な不当逮捕としか言いようがない事案ですから、不起訴処分という本人にとって最善の結果が出るように出るように全力を尽くします。
林浩靖法律事務所では、地方の案件等、必要があれば、他の事務所の弁護士とも連携して、ご依頼者様にとって最善の結果が出るような体制を取っておりますので、刑事事件に限らず、お困りごとがあれば、ぜひ、林浩靖法律事務所にご相談ください。
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