所長ブログ
2013年8月26日 月曜日
[書評]山田鐐一・黒木忠正 よくわかる入管法[第3版](有斐閣)
今週は、林浩靖法律事務所は夏休みを頂いており、当職は、「積ん読」状態になっている本を読んでいますので、1冊、書評をしたいと思います(本記事は書評なので、ここからは、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
本書の著者のうち、山田氏は、元名古屋大学教授で国際私法を専門とする学者、黒木氏は、元東京入国管理局長として、入管実務に携わってきた人物である。ただ、山田氏は、初版出版後に亡くなられたので、第2版以降は、黒木氏が改訂しているものと思われる。
本書は、「出入国管理のシステムや実際に行われている手続を問答形式で、できるだけ平易に解説したもの」(初版はしがき)とされており、その言葉には嘘はない。著者の一人である黒木氏が、入管実務に携わってきたこともあり、入管実務の見解で一貫して書かれているので、立場は一貫しており、基本を押さえるという観点では、良書だと思う。ただ、本書は、専ら、入管実務を肯定する立場から書かれているので、反対説などは記されておらず、頭を使うという観点では役に立たないし、既に入管とトラブルになっている者がこの本を読んでも何のヒントも得られないであろう。そのため、専ら、入管実務を肯定するという本書の立場は、それ自体が一つの長所であるとともに短所であると言ってよいだろう。
ただ、comment欄には、法文を見るだけではわからない豆知識的なことも書かれており、弁護士の立場でも、ここは役立つ知識が入っている。
弊事務所では、外国人法律相談も取り扱っていますが、comment欄の豆知識的なものを除いて、業務上はあまり役立つ本ではないです。しかし、本書は、入管法の入門書としては手頃で良書なので、例えば、これから外国人労働者を雇うことを考えており、事前に最低限の知識は身に着けておきたいと考えるような場合には、役に立つ本だと思いますので、必要な方や入管法について全く知識がない方にはお勧めできると思います。
弁護士 林 浩靖
本書の著者のうち、山田氏は、元名古屋大学教授で国際私法を専門とする学者、黒木氏は、元東京入国管理局長として、入管実務に携わってきた人物である。ただ、山田氏は、初版出版後に亡くなられたので、第2版以降は、黒木氏が改訂しているものと思われる。
本書は、「出入国管理のシステムや実際に行われている手続を問答形式で、できるだけ平易に解説したもの」(初版はしがき)とされており、その言葉には嘘はない。著者の一人である黒木氏が、入管実務に携わってきたこともあり、入管実務の見解で一貫して書かれているので、立場は一貫しており、基本を押さえるという観点では、良書だと思う。ただ、本書は、専ら、入管実務を肯定する立場から書かれているので、反対説などは記されておらず、頭を使うという観点では役に立たないし、既に入管とトラブルになっている者がこの本を読んでも何のヒントも得られないであろう。そのため、専ら、入管実務を肯定するという本書の立場は、それ自体が一つの長所であるとともに短所であると言ってよいだろう。
ただ、comment欄には、法文を見るだけではわからない豆知識的なことも書かれており、弁護士の立場でも、ここは役立つ知識が入っている。
弊事務所では、外国人法律相談も取り扱っていますが、comment欄の豆知識的なものを除いて、業務上はあまり役立つ本ではないです。しかし、本書は、入管法の入門書としては手頃で良書なので、例えば、これから外国人労働者を雇うことを考えており、事前に最低限の知識は身に着けておきたいと考えるような場合には、役に立つ本だと思いますので、必要な方や入管法について全く知識がない方にはお勧めできると思います。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所 | 記事URL
2013年8月24日 土曜日
[書評]磯村健太郎・山口栄治 原発と裁判官 なぜ司法は「メルトダウン」を許したのか(朝日新聞出版)
林浩靖法律事務所は、本日から夏休みを頂いております。とはいっても、業務上も家のことでも、たまっていることはいろいろありますので、少しでも、たまっているものを片づけなければなりません。今年の夏休みは、どこにも出かける予定はありませんので、少しは、片づけたいと思います。
そのたまっているものの一つに、「積ん読」状態になっている本を読むことがあります。ということで、今日、読んだ「原発と裁判官 なぜ司法は「メルトダウン」を許したのか」について、書評をしたいと思います(本記事は書評なので、ここからは、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
本書の著者は、二人とも朝日新聞の記者で、もともと「朝日新聞のオピニオン面で2011年から2012年にかけて5回にわたって掲載したインタビュー記事が出発点」(201頁。なお、漢数字は算用数字に直した。)になっている書物であるから、法律の専門家向けの書物ではなく、一般向けの書物である。そのため、議論している裁判の判決年月日がきちんと示されていないなど、業務の上で用いるには、若干、使いにくい面があることは否めない(一般向けの本なので、本文に判決年月日を書かないのは読みやすさを考えればやむを得ない面があるが、できれば、巻末にまとめて示すなどの工夫をしてほしかった)が、それでも、通常語られることのない裁判官の葛藤などが示されている点で、一般の方にも、弁護士のような法律の専門家にも役に立つ本と言えよう。
福島第一原発の事故の前から、原発についての訴訟は、何件か提起されたことがあったが、住民側の主張が認められた事件は少なく、原発の運転差し止めが認められた最高裁判決は1件もなく、下級審の判決でも2例しかない(それも、いずれも、上級審で住民が逆転敗訴している。)。(ただし、新潟県巻町の原発候補地となった町有地売却の事件では、最高裁は、原発反対派側の主張を認めたので、結果的に原発建設が阻止された事例はある。)
住民側の主張が認められにくい一つの原因が、「伊方原発訴訟」の最高裁判決(最判平4・10・29)が、「原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、右調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的審査基準に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に不合理な点があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法」として、裁判所の判断は、原子力安全員会の判断を尊重して行うという趣旨の基準を示したことにある。もちろん、この基準は、「原子力安全委員会が期待されているような役割を十分果たすのであれば」(144頁)、裁判所に原子力に関する専門的な知識があるわけではない以上、妥当なものと言えるであろう。しかしながら、この前提条件が満たされていなかったことは、福島第一原発の事故の後の経緯を見れば、現在ではすでに明らかであろう。
「いまの訴訟法が国策を争うようにはできていない」(75頁)というのは確かにそのとおりであるが、裁判官も人間であるから、結局は、国民の意識の問題であろう。結論は間違いなく、「国民の意識が変われば裁判も変わる」(196頁)ということである。裁判所は、人権の最後の砦であり、それを支えるのは、国民の意識であることは間違いない。裁判の抱える問題点も含めて、いろいろと考えさせられる書物である。
この書評を読んで、本書を読んでみたいと考える方がいらっしゃれば、本当にうれしく思います。裁判の抱える問題点や、原発について国民としてどう考えるのかを考えていただければ幸いです。
当職も、原発事故被災者の件に限らず、その他の件についても、現在、抱えている問題点をしっかり把握したうえで、ご依頼者差の利益を図るように努めておりますので、お困りの際は、弊事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
そのたまっているものの一つに、「積ん読」状態になっている本を読むことがあります。ということで、今日、読んだ「原発と裁判官 なぜ司法は「メルトダウン」を許したのか」について、書評をしたいと思います(本記事は書評なので、ここからは、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
本書の著者は、二人とも朝日新聞の記者で、もともと「朝日新聞のオピニオン面で2011年から2012年にかけて5回にわたって掲載したインタビュー記事が出発点」(201頁。なお、漢数字は算用数字に直した。)になっている書物であるから、法律の専門家向けの書物ではなく、一般向けの書物である。そのため、議論している裁判の判決年月日がきちんと示されていないなど、業務の上で用いるには、若干、使いにくい面があることは否めない(一般向けの本なので、本文に判決年月日を書かないのは読みやすさを考えればやむを得ない面があるが、できれば、巻末にまとめて示すなどの工夫をしてほしかった)が、それでも、通常語られることのない裁判官の葛藤などが示されている点で、一般の方にも、弁護士のような法律の専門家にも役に立つ本と言えよう。
福島第一原発の事故の前から、原発についての訴訟は、何件か提起されたことがあったが、住民側の主張が認められた事件は少なく、原発の運転差し止めが認められた最高裁判決は1件もなく、下級審の判決でも2例しかない(それも、いずれも、上級審で住民が逆転敗訴している。)。(ただし、新潟県巻町の原発候補地となった町有地売却の事件では、最高裁は、原発反対派側の主張を認めたので、結果的に原発建設が阻止された事例はある。)
住民側の主張が認められにくい一つの原因が、「伊方原発訴訟」の最高裁判決(最判平4・10・29)が、「原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、右調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的審査基準に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に不合理な点があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法」として、裁判所の判断は、原子力安全員会の判断を尊重して行うという趣旨の基準を示したことにある。もちろん、この基準は、「原子力安全委員会が期待されているような役割を十分果たすのであれば」(144頁)、裁判所に原子力に関する専門的な知識があるわけではない以上、妥当なものと言えるであろう。しかしながら、この前提条件が満たされていなかったことは、福島第一原発の事故の後の経緯を見れば、現在ではすでに明らかであろう。
「いまの訴訟法が国策を争うようにはできていない」(75頁)というのは確かにそのとおりであるが、裁判官も人間であるから、結局は、国民の意識の問題であろう。結論は間違いなく、「国民の意識が変われば裁判も変わる」(196頁)ということである。裁判所は、人権の最後の砦であり、それを支えるのは、国民の意識であることは間違いない。裁判の抱える問題点も含めて、いろいろと考えさせられる書物である。
この書評を読んで、本書を読んでみたいと考える方がいらっしゃれば、本当にうれしく思います。裁判の抱える問題点や、原発について国民としてどう考えるのかを考えていただければ幸いです。
当職も、原発事故被災者の件に限らず、その他の件についても、現在、抱えている問題点をしっかり把握したうえで、ご依頼者差の利益を図るように努めておりますので、お困りの際は、弊事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
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2013年8月22日 木曜日
夏季休暇のお知らせ
弊事務所は、来週8月26日(月)から、30日(金)まで、夏季休暇とさせていただきます。
そのため、明日(23日)夕方以降のお問い合わせに関しましては、9月2日(月)以降の回答になりますので、ご了承賜りますようにお願いいたします。
林浩靖法律事務所
弁護士 林 浩靖
そのため、明日(23日)夕方以降のお問い合わせに関しましては、9月2日(月)以降の回答になりますので、ご了承賜りますようにお願いいたします。
林浩靖法律事務所
弁護士 林 浩靖
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2013年8月21日 水曜日
横浜地方裁判所
林浩靖法律事務所 の弁護士の 林 です。
本日は、あるご依頼者様の事件のために、横浜地方裁判所に行きました。当職が独立する前、勤務弁護士だった時代にも担当した事件が横浜地裁に係属したことがあり、横浜地裁に通ったことがあります。当時は、まだ、みなとみらい線が開通しておらず、JRの関内駅から4~5分歩いて裁判所に行ったのですが、みなとみらい線が開業し、裁判所の近くに日本大通り駅ができたので、便利になりました。
弊事務所からは、地下鉄の副都心線が東急東横線を介して、みなとみらい線に直通しているので、電車1本で横浜地裁までいけるので、大変便利です。
弊事務所は、東京に限らず、事件処理に必要であれば、地方へもまいりますので、何かお困りごとがありましたら、ぜひ、ご相談ください。
本日は、あるご依頼者様の事件のために、横浜地方裁判所に行きました。当職が独立する前、勤務弁護士だった時代にも担当した事件が横浜地裁に係属したことがあり、横浜地裁に通ったことがあります。当時は、まだ、みなとみらい線が開通しておらず、JRの関内駅から4~5分歩いて裁判所に行ったのですが、みなとみらい線が開業し、裁判所の近くに日本大通り駅ができたので、便利になりました。
弊事務所からは、地下鉄の副都心線が東急東横線を介して、みなとみらい線に直通しているので、電車1本で横浜地裁までいけるので、大変便利です。
弊事務所は、東京に限らず、事件処理に必要であれば、地方へもまいりますので、何かお困りごとがありましたら、ぜひ、ご相談ください。
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2013年8月14日 水曜日
[書評]小林節・伊藤真 自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!(合同出版)
林浩靖法律事務所は、夏休みは今月の終わりに頂く予定です(後日、正式にお知らせいたします)ので、お盆期間中も普段と同じ様に執務しておりますが、世間一般はお盆休みということで、ご依頼者様からの連絡も少なく、少し時間があることは事実です。そこで、最近読み終えた「自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!」について、書評をしたいと思います(本記事は書評なので、ここからは、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
著者の1人である小林節氏は、慶応義塾大学教授で改憲派の論客として知られ、もう一人の著者である伊藤真氏は、弁護士兼伊藤塾の塾長で護憲派の論客として知られている(伊藤氏は、以前書評をした「伊藤真の行政法入門」の著者である)。
このように著者の両名は、異なる立場に立つが、対談はきちんとしている。それは、両者とも、「議会も含めた権力を憲法によって縛るもの」(50~51頁)である立憲主義という基盤は共通にあり、その上で議論が展開されているので、議論になっているのである。これに対して、自民党の憲法改正草案は、立憲主義を全く理解していないとしか言いようがないものであり(さすが、総裁が、憲法学の有名な教授である故・芦部信喜東京大学名誉教授の名前を知らないと言っただけのことはある。)、自民党の草案を見たら、「憲法制定の精神は、第一は君権の制限にあり、第二に市民の権利を保護するにあり」(54頁)と述べ、立憲主義について、一定の理解があった明治の元老、伊藤博文が見たら仰天し、嘆くであろうとしか思えないものであった。
かかる事情から、自民党の憲法改正草案は、護憲派の伊藤氏のみならず、改憲派の小林教授からも反対されている、どうしようもない代物になってしまっている。
ただ、この憲法草案を見たとき、自民党の右派の本音は、日本を中国のような国にしたいのではないかと思えてきた。社会主義市場経済を自称する中国は、政治体制としては、未だに社会主義であるため、自由主義国の基本原理である立憲主義、三権分立制は採用されず、民主集中制と呼ばれる共産党の一党独裁体制をとっている。中国は、このような体制をとっているから、もちろん、西欧の天賦人権説を採用していないが、自民党の憲法改正草案も天賦人権説を否定することを目的としている(自民党 日本子奥憲法改正草案Q&A Q13)。もちろん、日本で、「民主主義を、自民党の一党独裁に変えたい」などと言ったら、実現する前に議員が全員落選してしまうだろうから口には出していないが、やっていることの実際は、まさに日本の中国化であろう。個性を重視するのではなく、国の利益を重視し、国民はカネを稼ぐことだけは自由にやって下さいということである。見かけは、戦前への回帰に見えるかもしれないが、実際は、戦前への回帰というよりは、中国化といったほうが実態に近いのではないかと思う。物事は、その本質が何かということは考えなければならない。それが、教養であり、また、そこを考えていることが、最後は、自分たちの利益を守ることにつながるのだろうと思う。
林浩靖法律事務所では、物事を本質から考え、常に、ご依頼者様の利益を守るために最善を尽くしますので、何かお困りごとがありましたら、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
著者の1人である小林節氏は、慶応義塾大学教授で改憲派の論客として知られ、もう一人の著者である伊藤真氏は、弁護士兼伊藤塾の塾長で護憲派の論客として知られている(伊藤氏は、以前書評をした「伊藤真の行政法入門」の著者である)。
このように著者の両名は、異なる立場に立つが、対談はきちんとしている。それは、両者とも、「議会も含めた権力を憲法によって縛るもの」(50~51頁)である立憲主義という基盤は共通にあり、その上で議論が展開されているので、議論になっているのである。これに対して、自民党の憲法改正草案は、立憲主義を全く理解していないとしか言いようがないものであり(さすが、総裁が、憲法学の有名な教授である故・芦部信喜東京大学名誉教授の名前を知らないと言っただけのことはある。)、自民党の草案を見たら、「憲法制定の精神は、第一は君権の制限にあり、第二に市民の権利を保護するにあり」(54頁)と述べ、立憲主義について、一定の理解があった明治の元老、伊藤博文が見たら仰天し、嘆くであろうとしか思えないものであった。
かかる事情から、自民党の憲法改正草案は、護憲派の伊藤氏のみならず、改憲派の小林教授からも反対されている、どうしようもない代物になってしまっている。
ただ、この憲法草案を見たとき、自民党の右派の本音は、日本を中国のような国にしたいのではないかと思えてきた。社会主義市場経済を自称する中国は、政治体制としては、未だに社会主義であるため、自由主義国の基本原理である立憲主義、三権分立制は採用されず、民主集中制と呼ばれる共産党の一党独裁体制をとっている。中国は、このような体制をとっているから、もちろん、西欧の天賦人権説を採用していないが、自民党の憲法改正草案も天賦人権説を否定することを目的としている(自民党 日本子奥憲法改正草案Q&A Q13)。もちろん、日本で、「民主主義を、自民党の一党独裁に変えたい」などと言ったら、実現する前に議員が全員落選してしまうだろうから口には出していないが、やっていることの実際は、まさに日本の中国化であろう。個性を重視するのではなく、国の利益を重視し、国民はカネを稼ぐことだけは自由にやって下さいということである。見かけは、戦前への回帰に見えるかもしれないが、実際は、戦前への回帰というよりは、中国化といったほうが実態に近いのではないかと思う。物事は、その本質が何かということは考えなければならない。それが、教養であり、また、そこを考えていることが、最後は、自分たちの利益を守ることにつながるのだろうと思う。
林浩靖法律事務所では、物事を本質から考え、常に、ご依頼者様の利益を守るために最善を尽くしますので、何かお困りごとがありましたら、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
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