所長ブログ
2013年7月 6日 土曜日
渉外離婚
昨日は、あるご依頼者様の離婚調停のために、宇都宮家庭裁判所大田原支部へ行きました。
外国人が関係する離婚事件の場合、日本人同士の離婚事件の場合と大きく異なるのは、外国人の本国の法律にも目を配らなければならないということがあります。
もちろん、日本の裁判所で行われる家事調停ですから、手続自体は、日本の法律に従って進みます。しかしながら、離婚の要件については、日本の法律で離婚の要件を満たすから大丈夫と即断することはできず、法の適用に関する通則法の内容を確認して、いかなる国の法律が適用されるのかを確認したうえで、関係する国の法律上の要件を満たすようにする必要があります。
この分野は、日本法の知識のみならず、外国法の知識も求められますので、専門性が高く、安易に日本人同士の離婚のように処理すると、依頼者に予想外の不利益を与えることになる危険性がある分野です。
外国人法律問題を取り扱う林浩靖法律事務所では、もちろん、渉外離婚についても取り扱っており、ご依頼者様の利益を最大限尊重した処理が可能ですので、外国人が関係する離婚でお困りのことがあれば、ぜひ、ご相談ください。
弁護士 林 浩靖
外国人が関係する離婚事件の場合、日本人同士の離婚事件の場合と大きく異なるのは、外国人の本国の法律にも目を配らなければならないということがあります。
もちろん、日本の裁判所で行われる家事調停ですから、手続自体は、日本の法律に従って進みます。しかしながら、離婚の要件については、日本の法律で離婚の要件を満たすから大丈夫と即断することはできず、法の適用に関する通則法の内容を確認して、いかなる国の法律が適用されるのかを確認したうえで、関係する国の法律上の要件を満たすようにする必要があります。
この分野は、日本法の知識のみならず、外国法の知識も求められますので、専門性が高く、安易に日本人同士の離婚のように処理すると、依頼者に予想外の不利益を与えることになる危険性がある分野です。
外国人法律問題を取り扱う林浩靖法律事務所では、もちろん、渉外離婚についても取り扱っており、ご依頼者様の利益を最大限尊重した処理が可能ですので、外国人が関係する離婚でお困りのことがあれば、ぜひ、ご相談ください。
弁護士 林 浩靖
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2013年7月 5日 金曜日
[書評]荒川洋二他 4訂版犯罪事実記載の実務特別法犯
一冊、書評をしたいと思います。(本記事は書評なので、ここからは、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
この本は、はしがきの2頁目に「捜査官の執務に資する」とあるように、本来の目的は、警察官が送検する際の送致書に記載する犯罪事実の書き方の例を示し、警察官の執務に便宜を図ろうとするものである。この「犯罪事実の記載の実務」は、特別法犯編のほかに、刑法犯編も出版されており、当職が司法修習生のころは、検察という科目の2回試験の準備のために刑法犯編を使う修習生も多く(特別法犯は、実務修習の際を除いて、修習生は扱わないのが一般でした。)、当職も、刑法犯編を購入して、使用した。現在でも、告訴状を書くようなときには活用している。しかしながら、刑法については、犯罪事実ごとの整理だと、刑法各論の部分は良いのだが、刑法総論の部分が薄くなることもあり、結局、ノート代わりにする本としては、受験時代に使用していたテキストを書籍化した「伊藤真の条文シリーズ6 刑法」(伊藤真監修、伊藤塾著・弘文堂)を、業務際に必要な事項を調べる時には、条解刑法(前田雅英編集代表・弘文堂)を用いている。
ただ、刑法についての書籍が充実しているのに比して、特別刑法と呼ばれる、刑法以外の犯罪についての書籍は、正直、充実していない。それでも、昔は、特別刑法についても、コンメンタールなどが出版されていたのだが、ロースクール開講後は、学者の先生も刑法の教育用の教材を書く例が多くなり、そのあおりからか、特別刑法の本は、いわゆる実務書は別にすると、経済刑法と環境刑法以外は、近時はほとんど出版されていない。
このような状況の下で、コンパクトにノート代わりにも使えるような特別刑法の本を探すのは容易ではない。そのような中で、この本は、今回の4訂版から、関連条文も記載されるようになったので、情報をまとめる本として使えると考えて、購入し、通読した(ノート代わりに使うためには、通読して、最低限、どのあたりに掲載されている話なのか、本にはどの程度記載されているのかを把握しておくことは、必須であると思う。)。
弊事務所では、民事事件に限らず、刑事事件についても対応をさせていただいております。もちろん、刑法犯だけでなく、それ以外の、いわゆる特別法犯の弁護も行っておりますので、何かお困りごとがあれば、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
この本は、はしがきの2頁目に「捜査官の執務に資する」とあるように、本来の目的は、警察官が送検する際の送致書に記載する犯罪事実の書き方の例を示し、警察官の執務に便宜を図ろうとするものである。この「犯罪事実の記載の実務」は、特別法犯編のほかに、刑法犯編も出版されており、当職が司法修習生のころは、検察という科目の2回試験の準備のために刑法犯編を使う修習生も多く(特別法犯は、実務修習の際を除いて、修習生は扱わないのが一般でした。)、当職も、刑法犯編を購入して、使用した。現在でも、告訴状を書くようなときには活用している。しかしながら、刑法については、犯罪事実ごとの整理だと、刑法各論の部分は良いのだが、刑法総論の部分が薄くなることもあり、結局、ノート代わりにする本としては、受験時代に使用していたテキストを書籍化した「伊藤真の条文シリーズ6 刑法」(伊藤真監修、伊藤塾著・弘文堂)を、業務際に必要な事項を調べる時には、条解刑法(前田雅英編集代表・弘文堂)を用いている。
ただ、刑法についての書籍が充実しているのに比して、特別刑法と呼ばれる、刑法以外の犯罪についての書籍は、正直、充実していない。それでも、昔は、特別刑法についても、コンメンタールなどが出版されていたのだが、ロースクール開講後は、学者の先生も刑法の教育用の教材を書く例が多くなり、そのあおりからか、特別刑法の本は、いわゆる実務書は別にすると、経済刑法と環境刑法以外は、近時はほとんど出版されていない。
このような状況の下で、コンパクトにノート代わりにも使えるような特別刑法の本を探すのは容易ではない。そのような中で、この本は、今回の4訂版から、関連条文も記載されるようになったので、情報をまとめる本として使えると考えて、購入し、通読した(ノート代わりに使うためには、通読して、最低限、どのあたりに掲載されている話なのか、本にはどの程度記載されているのかを把握しておくことは、必須であると思う。)。
弊事務所では、民事事件に限らず、刑事事件についても対応をさせていただいております。もちろん、刑法犯だけでなく、それ以外の、いわゆる特別法犯の弁護も行っておりますので、何かお困りごとがあれば、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
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2013年6月27日 木曜日
初回法律相談に関するキャンペーン延長のお知らせ
東京・池袋所在の林浩靖法律事務所です。
弊事務所では、通常、初回法律相談に関しまして、30分5000円の相談料を頂いておりますが、6月に実施した、
①水曜日に行う初回法律相談について、
②このホームページをみて、
ご相談を希望された方について、初回法律相談を無料で行わせて頂くキャンペーンを
7月も引き続き実施します。
この機会に、お困りごとがある方は、ぜひ、ご相談ください。
弊事務所では、通常、初回法律相談に関しまして、30分5000円の相談料を頂いておりますが、6月に実施した、
①水曜日に行う初回法律相談について、
②このホームページをみて、
ご相談を希望された方について、初回法律相談を無料で行わせて頂くキャンペーンを
7月も引き続き実施します。
この機会に、お困りごとがある方は、ぜひ、ご相談ください。
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2013年6月21日 金曜日
磐越東線
林浩靖法律事務所の弁護士の 林 です。
本日と明日の2日にわたって、福島県を訪問し、原発事故の被災者の方を対象にした法律相談をさせていただくことになっています。
本日は、南相馬市の「ヨークベニマル原町西店」で法律相談をさせていただきました。明日は、いわき市にある仮設住宅で、法律相談をさせていただくことになっています。
そこで、本日の法律相談終了後、南相馬市からいわき市へ移動しました。東日本大震災以前は、常磐線を使えば、1時間程度で移動できたのですが、南相馬市といわき市の間には、福島第一原発がありますから、現在は、このルートは使えません。
そのため、南相馬市から、車で福島駅へ移動し、あとは、東北新幹線とゆうゆうあぶくまラインの愛称がついている磐越東線を乗り継いで、いわき駅へ向かうことになりました。
福島県は、海側の「浜通り」、福島市や郡山市のある「中通り」、それから、NHKの大河ドラマ八重の桜の舞台である「会津」の大きく3つに分けられます。そして、南北方向の交通は比較的便利なのですが、東西方向の交通はあまりよくありません。その中で、磐越東線は、中通りの郡山駅と浜通りのいわき駅を結んでいるのですが、はっきり言ってローカル線で、まさか出張の際に乗ることになるとは、思っていませんでした。
郡山駅を19時44分に出る列車は、いわき駅まで行く列車としては最終列車で、この後は、途中の小野新町駅までいく列車はまだ3本残っていますが、いわきまで行くのは、この19時44分発が最後です。小野新町の先で、峠を越えるようですので、やはり中通りと浜通りの間では、人の行き来が少ないのかもしれないと思います。まあ、高速バスに押されているだけかもしれませんが。
さて、郡山駅を19時44分に出る列車は、東北本線の白河方面からの列車が遅れているので、接続待ちをするということで、13分ほど遅れて発車しました。列車は、満員で、立ち客も出ているほどです。おっ、結構頑張っているなとは思いましたが、駅に停まるごとに乗客は降りるばかりで減っていきます。郡山への通学客がほとんどという感じです。途中の磐城常葉駅を発車するころには、立ち客はいなくなり、神俣駅を出るころには、座席にも空席が目立つようになりました。そして、小野新町駅で、ほとんどの客が下車し、乗っているのは、3両の電車に十数人といった感じになりました。小野新町駅から先に行く電車が少ないことにも納得という感じです。真っ暗ですので、外は見えませんが、ローカル線の旅という感じになりました。
結局、18分ほど遅れて、21時33分、いわき駅に到着しました。東京ではありませんから、もう駅は、閉店間近といった感じで、磐越東線の終電は終わっており、常磐線も、駅の電光掲示板には、「終電」と案内されている水戸行と広野行が残っているだけでした。ただ、いわき駅の磐越東線の案内に、「郡山・仙台方面」の案内が出ているのはびっくりしました。常磐線が使えないので、このような案内になっているのでしょうが、「仙台方面」というからには、新幹線への接続の快速電車を運転するとか、仙台への直通列車を運転するとかしないと、厳しいでしょうし、仙台に行くという人で、乗る人は、正直いないのではないかと思いました。
出張で、ローカル線に乗ることになるとは、思っていませんでした。真っ暗なのは、残念でしたが、ローカル線に乗るのも結構おつなものだと思います。
法律相談の合間の雑感でした。
本日と明日の2日にわたって、福島県を訪問し、原発事故の被災者の方を対象にした法律相談をさせていただくことになっています。
本日は、南相馬市の「ヨークベニマル原町西店」で法律相談をさせていただきました。明日は、いわき市にある仮設住宅で、法律相談をさせていただくことになっています。
そこで、本日の法律相談終了後、南相馬市からいわき市へ移動しました。東日本大震災以前は、常磐線を使えば、1時間程度で移動できたのですが、南相馬市といわき市の間には、福島第一原発がありますから、現在は、このルートは使えません。
そのため、南相馬市から、車で福島駅へ移動し、あとは、東北新幹線とゆうゆうあぶくまラインの愛称がついている磐越東線を乗り継いで、いわき駅へ向かうことになりました。
福島県は、海側の「浜通り」、福島市や郡山市のある「中通り」、それから、NHKの大河ドラマ八重の桜の舞台である「会津」の大きく3つに分けられます。そして、南北方向の交通は比較的便利なのですが、東西方向の交通はあまりよくありません。その中で、磐越東線は、中通りの郡山駅と浜通りのいわき駅を結んでいるのですが、はっきり言ってローカル線で、まさか出張の際に乗ることになるとは、思っていませんでした。
郡山駅を19時44分に出る列車は、いわき駅まで行く列車としては最終列車で、この後は、途中の小野新町駅までいく列車はまだ3本残っていますが、いわきまで行くのは、この19時44分発が最後です。小野新町の先で、峠を越えるようですので、やはり中通りと浜通りの間では、人の行き来が少ないのかもしれないと思います。まあ、高速バスに押されているだけかもしれませんが。
さて、郡山駅を19時44分に出る列車は、東北本線の白河方面からの列車が遅れているので、接続待ちをするということで、13分ほど遅れて発車しました。列車は、満員で、立ち客も出ているほどです。おっ、結構頑張っているなとは思いましたが、駅に停まるごとに乗客は降りるばかりで減っていきます。郡山への通学客がほとんどという感じです。途中の磐城常葉駅を発車するころには、立ち客はいなくなり、神俣駅を出るころには、座席にも空席が目立つようになりました。そして、小野新町駅で、ほとんどの客が下車し、乗っているのは、3両の電車に十数人といった感じになりました。小野新町駅から先に行く電車が少ないことにも納得という感じです。真っ暗ですので、外は見えませんが、ローカル線の旅という感じになりました。
結局、18分ほど遅れて、21時33分、いわき駅に到着しました。東京ではありませんから、もう駅は、閉店間近といった感じで、磐越東線の終電は終わっており、常磐線も、駅の電光掲示板には、「終電」と案内されている水戸行と広野行が残っているだけでした。ただ、いわき駅の磐越東線の案内に、「郡山・仙台方面」の案内が出ているのはびっくりしました。常磐線が使えないので、このような案内になっているのでしょうが、「仙台方面」というからには、新幹線への接続の快速電車を運転するとか、仙台への直通列車を運転するとかしないと、厳しいでしょうし、仙台に行くという人で、乗る人は、正直いないのではないかと思いました。
出張で、ローカル線に乗ることになるとは、思っていませんでした。真っ暗なのは、残念でしたが、ローカル線に乗るのも結構おつなものだと思います。
法律相談の合間の雑感でした。
投稿者 林浩靖法律事務所 | 記事URL
2013年6月17日 月曜日
[書評]井筒俊彦 イスラーム文化 その根柢にあるもの(岩波文庫)
一冊、書評をしたいと思います。(本記事は書評なので、ここからは、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。
近年、日本とイスラーム教の国々との関係は、良い意味でも悪い意味でも大きくなっていると思う。核開発疑惑のイランや、内戦中のシリアもイスラーム教の国であるが、日本の近くにもマレーシアやインドネシアといったイスラーム教を信仰する者の多い国が存在し、それらの国々との関係は、これからますます大きくなっていくのではないかと思う。しかしながら、日本では、イスラーム教について知られてきたとは言い難い。そこで、イスラーム教について基本的な知識を得るため、『コーラン』の翻訳で知られ、イスラーム学者、東洋思想研究者などとして、多数の業績を残した慶応義塾大学名誉教授である著者の講演を元にした、本書を読むことにした。
当職にとって、イスラーム教との出合いは、いかなる偶然か分からないが、ドイツのGoethe-Institutであった。ここは、ドイツ外務省の外郭団体でドイツ語に関しては国際的に権威のある語学学校であるが、ここに短期留学した際に、同じクラスにサウジアラビアから来ていた女の子がいた。彼女は、昼休みには、毎日、お祈りをしており、お祈りしているときは、クラスメートたちとそっと席を外したものである。
日本では、無神論者が多数いるし、また、仏教徒と言いながら、クリスマスとはしゃいでいる人間が多数いることからも明らかなように、宗教の影響力はあまりないが、イスラーム教を信じる者のイスラーム教の大きさを見た気がした。
本書によると、「現世的生活を神の意志に従って正しく建設していく道として、政治が即ち宗教でもある」(141頁)ことから、イスラム教スンニー派では、聖俗の区別はなく、また、イスラーム教の聖典『コーラン』から生まれた「イスラーム法は、第一義的には人間の、というより共同体のモラル、つまり人間をその社会性において規制する社会生活の規範体系」(158頁)であるから、イスラーム教の国では、イスラーム教が占める割合は非常に大きい。そして、考え方に大きな影響を与えているから、イスラーム教を理解することなしに、イスラーム教の国々の人々との交流が深まることになれば、大きなトラブルを引き起こすことになるに違いない。イスラーム教は、中東だけではなく、東南アジアや中央アジア、北アフリカなど、広範な範囲に信者を持つ世界的な宗教であるから、この国際化の時代には、イスラーム教について、一定の知識を持つことは必要なのではないかと思う。
この点、本書は、一般向けの講演を土台に書かれたものであるから、読みやすく、また、厚さも200頁強と比較的薄い本であるので、一気に読め、イスラーム教における『コーラン』の位置づけや、スンニー派とシーア派、イスラーム神秘主義のイデオロギーの違いがどこから出てくるのかなどの、イスラーム教に関する基本的な内容が分かる便利な書物といえよう。
イスラーム教の原点は、間違いなく『コーラン』であるが、これは岩波文庫で3分冊になっており、すべてあわせれば1000頁に及ぶ書物であるから、そう簡単に読むわけにはいかないし、また、外国の文化の下で生まれた書物であるから、基礎知識がなければ、そもそも読みようがないという面があり、読んでも訳が分からなくなる危険性が高いので、『コーラン』を読む前に本書を読んでおくのも有益だろう。
外国人法律問題では、ある程度、バックグラウンドとなっているご依頼者様の文化を知っておく必要性を感じます。もちろん、すべての内容を押さえておくことなどは、到底できませんが、多くの方に共通しそうな部分はきちんと押さえておきたいと思います。東京・池袋所在の 林浩靖法律事務所 では、法律に限らず、その他の周辺の基礎知識についてもブラッシュアップを怠らず、皆様に満足していただける法的サービスを提供する所存ですので、外国人法律問題に関する事件に限らず、お困りのことがございましたら、ぜひ、ご相談ください。
弁護士 林 浩靖
近年、日本とイスラーム教の国々との関係は、良い意味でも悪い意味でも大きくなっていると思う。核開発疑惑のイランや、内戦中のシリアもイスラーム教の国であるが、日本の近くにもマレーシアやインドネシアといったイスラーム教を信仰する者の多い国が存在し、それらの国々との関係は、これからますます大きくなっていくのではないかと思う。しかしながら、日本では、イスラーム教について知られてきたとは言い難い。そこで、イスラーム教について基本的な知識を得るため、『コーラン』の翻訳で知られ、イスラーム学者、東洋思想研究者などとして、多数の業績を残した慶応義塾大学名誉教授である著者の講演を元にした、本書を読むことにした。
当職にとって、イスラーム教との出合いは、いかなる偶然か分からないが、ドイツのGoethe-Institutであった。ここは、ドイツ外務省の外郭団体でドイツ語に関しては国際的に権威のある語学学校であるが、ここに短期留学した際に、同じクラスにサウジアラビアから来ていた女の子がいた。彼女は、昼休みには、毎日、お祈りをしており、お祈りしているときは、クラスメートたちとそっと席を外したものである。
日本では、無神論者が多数いるし、また、仏教徒と言いながら、クリスマスとはしゃいでいる人間が多数いることからも明らかなように、宗教の影響力はあまりないが、イスラーム教を信じる者のイスラーム教の大きさを見た気がした。
本書によると、「現世的生活を神の意志に従って正しく建設していく道として、政治が即ち宗教でもある」(141頁)ことから、イスラム教スンニー派では、聖俗の区別はなく、また、イスラーム教の聖典『コーラン』から生まれた「イスラーム法は、第一義的には人間の、というより共同体のモラル、つまり人間をその社会性において規制する社会生活の規範体系」(158頁)であるから、イスラーム教の国では、イスラーム教が占める割合は非常に大きい。そして、考え方に大きな影響を与えているから、イスラーム教を理解することなしに、イスラーム教の国々の人々との交流が深まることになれば、大きなトラブルを引き起こすことになるに違いない。イスラーム教は、中東だけではなく、東南アジアや中央アジア、北アフリカなど、広範な範囲に信者を持つ世界的な宗教であるから、この国際化の時代には、イスラーム教について、一定の知識を持つことは必要なのではないかと思う。
この点、本書は、一般向けの講演を土台に書かれたものであるから、読みやすく、また、厚さも200頁強と比較的薄い本であるので、一気に読め、イスラーム教における『コーラン』の位置づけや、スンニー派とシーア派、イスラーム神秘主義のイデオロギーの違いがどこから出てくるのかなどの、イスラーム教に関する基本的な内容が分かる便利な書物といえよう。
イスラーム教の原点は、間違いなく『コーラン』であるが、これは岩波文庫で3分冊になっており、すべてあわせれば1000頁に及ぶ書物であるから、そう簡単に読むわけにはいかないし、また、外国の文化の下で生まれた書物であるから、基礎知識がなければ、そもそも読みようがないという面があり、読んでも訳が分からなくなる危険性が高いので、『コーラン』を読む前に本書を読んでおくのも有益だろう。
外国人法律問題では、ある程度、バックグラウンドとなっているご依頼者様の文化を知っておく必要性を感じます。もちろん、すべての内容を押さえておくことなどは、到底できませんが、多くの方に共通しそうな部分はきちんと押さえておきたいと思います。東京・池袋所在の 林浩靖法律事務所 では、法律に限らず、その他の周辺の基礎知識についてもブラッシュアップを怠らず、皆様に満足していただける法的サービスを提供する所存ですので、外国人法律問題に関する事件に限らず、お困りのことがございましたら、ぜひ、ご相談ください。
弁護士 林 浩靖
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